人は地から離れては生きられない

なにかあったような気がした

、朝だ。

 あなたと出会ってからずいぶんと長い時間が経ちました。いろいろなことがあった。いろいろなことを話して、考えた。それでも僕はずっとあなたのことを思っていたような気がする。はじめは近づきたいと思った。そばにいられたらいいと思った。気づけば離れていかないでほしいと思っていた。離したくないと思って、大切な存在になっていることに気づいた。「愛している」といえるほど立派なものではないし、「好きだ」といえるほどまっすぐなものではない。ふさわしい言葉はまだ見つからなくて、今は「引き受けたい」と思っている。たとえば言葉や感情、あるいは孤独。もっと大きなことをいえば人生だとか、あなた一人では抱えきれないそうしたものを僕が引き受けるようあれたらいい。

 

 現実は簡単ではないし、辛く苦しい。(どのような形であれ)人は簡単にいなくなるし、駄目になるし、終わったりもする。もう身に染みてわかっていることです。僕だってけして楽に生きているといえないし、あなたもそうだと思います。それでもできるかぎりのことをしていきたい。僕が自分自身の望む僕としてあるために、そしてそうやってあなたからいろいろなものを引き受けていくために、わずかばかりの残っているものを使っていきたい。うまくいかないことも多い。みっともないところや情けない部分もたくさん見せてしまった。けれどあなたはこうしていてくれる。本当に支えられて、救われて、抱えていた思いはずっと育まれてきた。

 

 社会や人生が希望を宿す明るいものだと思ったことは一度もないし、これからもないでしょう。ただそこにすこしでもあなたがいてくれたら、そんなに最悪ではないのかもしれないと思うし、またすこしだけやっていくことができる。僕もどこかでそうなることができたらいい。これからもきっと多くの物事が変わっていく。悪いほうへ変わってしまうこともたくさんある。だからこうして過ごせる時間は変わらずそのままでいられたらと願っているし、そうしていきたいと思っている。こういう言葉にしかできないけれど、ありがとう。